台風が多い時期に横行する詐欺をご存知でしょうか?
以前の投稿で少し触れた、台風時期に横行する詐欺について解説していきます。
前回の記事はこちら
火災保険詐欺
保険に加入しているなら、自然災害による被災時には保険を適用しないと加入している意味がありません。
しかし、保険が適用されるにはいくつかの条件があります。
<外壁塗装に火災保険を適用する際の注意事項>
・火災のほか、落雷・破裂・爆発・風・雹・雪災による損害である場合、損害を補償してもらえる。
・水災や水濡れ事故による損害は、グレードの高い契約でないと適用されないことが多い。高潮や洪水、集中豪雨などによる土砂崩れなどの自然災害がこれにあたりますが、契約内容やプランによっては適用されない。
・被災から3年以内かつ災害による損傷であることが明らかであること。※損傷箇所の写真が必要
経年による劣化や、通常の摩耗・変質・変色などには、火災保険は一切適用されません!
悪徳業者が突いてくるポイント
悪徳業者は、家主様の「被災した箇所の工事を急ぎたい」という心理に漬け込み、言葉巧みにダマそうとしてきます。
以下のようなセールストークにはご注意ください。
・「火災保険が適用されるので無料で工事できます」と嘘の説明をおこなう
先に説明したように、契約している保険会社や契約内容やプランによって適用範囲が異なるため、必ず適用されるとは言い切れません。
・「保険申請を代行しますよ」と業者から言われる
保険の申請ができるの基本的に本人様で、もしくは保険契約時の代理店です。業者に依頼して申請した場合、「なりすまし申請」だと判断される場合があります。
・キャンセルに関する説明がない
悪徳業者の場合、キャンセルに関する説明を一切せず、保険が下りなかったとしても「契約したんだから工事します」「契約違反ですよ」と言い、強引に工事を進めようとします。
・工事費用を先払いさせる。
保険は必ず下りるものではありません。工事費用を先払いさせるということは、「保険が下りても下りなくても工事をする」ということの現れです。
ここまでは前回のおさらいとなります。
次項では、どうすれば火災保険詐欺の被害に遭わないかを解説していきます。
詐欺に遭わないために
まずは保険会社へ自分で連絡。
加入しているプランと補償範囲を確認し、今後どう動けばいいかを尋ねる!
火災保険認定してもらうためには、被害状況がわかる写真や復旧工事にいくらかかるかがわかる見積書を保険会社に提出する必要があります。また、自宅の被害状況が契約中の火災保険の補償範囲に該当するかを確認する必要があります。
加入している火災保険やプランによって補償範囲が異なるため、同じような被害内容でもAさんのお宅は火災保険が下りたのに、Bさんのお宅は火災保険が下りなかった、なんてことも往々にしてあります。
こういった手続きは、原則として「保険加入者(被保険者)」がおこなうものなので、工事業者が代行できるものではありません。
申請するための調査や見積書の作成、被害状況がわかりやすい写真を撮影したりまとめたりする作業は私達業者がおこなっても問題はありません。
問い合わせ時には個人情報が必要になりますし、業者に任せてしまうと保険会社間との「言った・言わない」の問題になることもあります。
またその業者が悪徳業者だった場合、保険会社に連絡したフリだけして実際は連絡していないなんてこともありえます。
申請手続きは記入する書類や提出する書類などが多くて面倒ですが、詐欺に遭わないために必要な手間だと思ってください^^;
火災保険が下りると決定するまでは契約や工事をしない!
火災保険適用の申請をしても、必ず保険が下りるわけではありません。
保険会社既定の審査があり、写真ではわかりにくい被害状況や箇所については保険会社の調査員が実際に現地調査をおこなって判断することもあります。
調査の結果、火災保険での補償範囲外だと認定されたり、経年劣化が直接的な原因だと判断された場合、火災保険が適用されません。
先述しましたが、経年劣化による家屋の不具合には火災保険は適用されませんので、すでにボロボロで何の対策もしてなかった雨樋が今回の台風で完全に外れてしまった、といった事案には火災保険は適用されないことがほとんどです。
また、火災保険の補償が適用されても、工事費をすべて補えるほどの保険金の額になるかわかりません。
ですので業者がどんな提案や急かすような話をしてきても、保険会社からの返事がくるまでは契約したり工事を進めたりしないようにしましょう。
火災保険での補償は現状復旧が基本!
グレードアップはできない!
火災保険が適用されるとしても、原則として現状復旧となる工事や費用しか認められません。台風被害を機にグレードアップしようと考えても、現況復旧に足る費用しか補償されませんのでご注意ください。
あくまで簡易的な解説例ですが、二重ガラスの窓は通常のガラス窓よりも高額です。
元々の窓が通常のガラスだった場合、火災保険による補償は通常の窓ガラスで復旧するという仮定で審査されます。
いくらか手出ししてでもより良いものに変えたい場合はいいかもしれませんが、火災保険のみで工事をしたい方は注意が必要な内容です。
まとめ
いかがでしたか?
火災保険による補償と、火災保険を利用した詐欺の手口はお分かりいただけましたか?
火災保険にまつわる連絡は、必ず自分で保険会社に確認する!
今回はこれを覚えてください!
台風の時期、必ずと言っていいほど火災保険にまつわる詐欺が増えます。そして毎年詐欺被害に遭われる方がいらっしゃいます。
先日、塗装工事をさせていただいたお客様から詐欺電話があった話を伺うことがありました。
台風が過ぎた後に、「無料で点検、火災保険が下りるので実質ゼロ円で工事ができますよ!」という電話が来たそうです。
用心深く、「まだ調査もしてないのに、なぜ火災保険が下りるとわかるんですか?」と尋ねたところ、急にしどろもどろになって「これまでの実績で……」と苦し紛れの言い訳をしてきたとか。
相手にせずに電話を切ったそうですが、実際に家屋に被害が出ている人なら、あせって頼んでいたかもしれません。
弊社も点検は無料でおこなっていますが、火災保険の適用を考えてらっしゃる方には今回書いてきた内容を説明し、「まずはご契約されている保険会社に連絡してみてください」とお願いしています。
九州は台風が多くやってくる地域です。
台風が多ければ多いほど、勢力が大きければ大きいほど、悪徳業者には絶好の詐欺の機会となってしまいます。
皆様の暮らしが快適で安全であるよう、私たちも尽力致します!
前回のおさらいになりますが、台風が通り過ぎた後に必ず増えるのが火災保険詐欺です。