笠木(かさぎ)が傷んで雨水が浸入してるみたいですね……
見積もりをお願いした業者さんに言われた時、あなたはそれが家のどの部分を指しているかわかりますか?
破風? 笠木?
担当者や職人さんも、現地で一緒に見て回っている時ならば指をさしたりして、どの部分を言っているのか説明してくれるでしょう。
しかしそれが見積書のような書面上で文字として記載されていたら? メールで文章として送られてきたら?
今回は知っているようで知らない、家屋の各部の名称を紹介・解説していきたいと思います!
代表的な部位の名称
代表的な部位の名称をざっくりと紹介します。
図に記載のない部位についても後ほど紹介していきます。
現地で説明する場合は指をさしながら説明します。
私達は慣れがありますが、一般のお客様に口頭で「鼻隠し」「笠木」と言っても、伝わらないことの方が多いです。
それでは普段は馴染みがないであろう各部位の名称と解説を進めていきます!
解説は上の【図1】を元に進めていきますので、しっかりと覚えておいてください!
棟(むね)/ 妻側(つまがわ)・平側(ひらがわ)
部位の解説に入る前に、住戸の位置について少しだけお話しします。解説については上の【図1】を元に進めます。
基本的に屋根の1番高い所を棟(むね)といい、棟に平行な面を平側(ひらがわ)、棟に直角な面を妻側(つまがわ)と呼びます(【図1】参照)。
棟(むね)は基本的に1つの建物に1つしかありません。
なので建物を数える時に1棟、2棟…と数えるんです。
笠木(かさぎ)/ パラペット / ドレン
笠木(かさぎ)
笠木(かさぎ)とはベランダやバルコニーの腰壁、後述するパラペット部、階段手摺などの、平らな部分にかぶせてある仕上材のことを指します。
笠木の役割は壁や躯体を保護することです。ベランダやバルコニーの腰壁やパラペットなどの雨水にさらされる場所に取り付けることによって、雨水の浸入を防ぎます。
階段手すりなどの手に触れることが多い部分に取り付けることによって、ケガを防いだり、劣化を防いだりする効果もあります。
階段の手すりが想像しやすいと思いますが、スベスベの木材がかぶせてあることが多いです。
防水の役割がある笠木ですので、メンテナンスを怠ると雨漏りの原因になります。
経年劣化や強風などで笠木が緩くなったり外れたり割れたりすると、そこから雨水が浸入して腐食していき、雨漏りを起こしてしまいます。
笠木からの雨漏りを考慮しない業者にあたってしまうと、不必要な工事をした挙句に雨漏りが止まらない、なんてこともありますのでご注意ください!
パラペット
パラペットは木造住宅ではほとんど見ることないと思います。平らな屋根(「陸屋根(ろくやね)」と言います)や屋上などについている外壁の一部で、胸壁(きょうへき)や扶壁(ふへき)ともいいます。
パラペットには、高さを出すことによる墜落防止や、雨水の排水効率を高めて劣化を防ぐ、という役割があります。後述するドレンに水が流れていき排水する仕組みです。
天板からの防水効果を高めるために、パラキャップと呼ばれる金属の笠木がかぶせられることが多いです。
パラペットは特に風雨や直射日光にさらされる部分なので、定期的にメンテナンスをしないと劣化してしまい、こちらも雨漏りの原因となってしまいます。
ドレン(ドレーン)
ドレンとは水抜きのために設置されている設備のことで、樋(とい)につなぐことで雨水などを外部へ排水します。
屋上だけでなく、ベランダやバルコニーにも必要な設備となりますが、落ち葉などのゴミで詰まってしまうことがよくあるため、定期的な掃除などですぐに除去できる対策が必要となります。
ドレンが詰まってしまって水浸しになってしまうと、劣化した場所からジワジワと水分が浸入してしまい、雨漏りとなって室内へと浸水してしまいます。
破風(はふ)/ 鼻隠し(はなかくし)
破風(はふ)もしくは破風板(はふいた)
屋根の先端部分で、雨樋がつかない方の軒先の先端に設置する部材が破風(はふ)です。板状の部材なので破風板(はふいた)とも呼ばれます。
破風の役割は、ずばり雨や風を防ぐことにあります。
屋根は上からの風雨には強いですが、構造的に横や下からの風雨に対しては弱いという特徴があります。破風設置することにより、風や雨の吹き込みを防ぎ、耐久性や防水性を高めているのです。
また、破風は耐火性のある部材が用いられることが多く、火災の際に延焼を遅らせる役割もあります。
鼻隠し(はなかくし)
屋根の先端部分で、雨樋がつく方の軒先の先端に設置する部材が鼻隠し(はなかくし)です。
鼻隠しの役割は基本的に破風と変わりませんが、鼻隠しは雨樋がつく軒先の先端に設置されるため、屋根から流れてくる雨水を受ける雨樋を取りつけるための下地(土台)の役割があります。ですので鼻隠しが劣化すると、雨樋がグラついたり雨樋の支持が外れたりして、不具合が発生してしまいます。
矢切(やぎり)/ 軒裏(のきうら)
矢切
矢切をすごく簡単に説明すると、写真のような外壁と屋根の間の三角形のスペースのことです。妻側の屋根の真下になります。
写真のように、飾りをつけたり仕上げを外壁と変えることで意匠性を高めます。
また、雨水が当たりにくい場所でもあるので、矢切に換気口を設けることも多いです。
軒裏(のきうら)もしくは軒天(のきてん)もしくは軒天上(のきてんじょう)
軒の裏側、もしくは軒の天井部なので、様々な呼び方があります。住宅を見上げた時、外壁より外側に突き出している屋根部分の裏の部分を言います。屋根の構造部分を隠すことで、意匠性を高める役割もあります。
また、軒が出ていることで雨水の吹き込みや太陽光を遮ることができるため、外壁の劣化を防ぎます。
さらに軒裏には燃えにくい部材が用いられるので、火災が起きた際の延焼を遅らせる役割もあります。軒がないと炎がすぐに屋根裏に廻り、屋根が焼け落ちてしまいます。
すべての家がそうではありませんが、中には穴が開いている部材を用いた軒裏もあります。
その場合は屋根裏の湿気が排出されるので、内部結露を防いでくれます。
まとめ
今回は普段の生活では馴染みがない部位にしぼって、わかりやすく解説しました。
しかし、すべてを常に完璧に覚えておく必要はありません。
現地調査の際には、しっかりと指でさしたりしながら、お客様に確実に伝わるように、ということを意識しています。
わからないことやわかりにくかった説明は、納得できるまで説明してもらいましょう!
軒裏・軒天・軒天上のように、同じ部位でも呼び方が複数あったりするので、正直プロの私達でも一瞬「?」となることがありますからね。
できるだけ専門用語を使わず、専門用語を使う際にはしっかりと内容を説明する、それが私達の義務であり責任だと考えます。
今回説明できなかった部位はたくさんありますし、ここでは紹介しなかった呼び方で呼ばれていることもあります。
建物のことでわからないことがあった際、まずは中村塗装にご連絡ください。
ちょっとした質問や相談でも大歓迎です!
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