台風発生時は全国的に注意が必要ではありますが、特に接近数や上陸数が多い九州・沖縄地方にお住まいの方のために、台風と外壁塗装の関係を解説していきます!
台風は塗装工事の天敵
災害大国とも呼ばれる日本では、毎年必ず台風が発生し被害が出ています。
国土交通省気象庁による1991年~2020年までの統計を引用すると、年間約25個もの台風が発生しており、そのうち約11個の台風が日本に接近しているとのこと。
特に沖縄地方は上陸数が多く、1年で平均7~8個もの台風が接近しています。
次いで九州地方が多く、こちらは1年で平均3~4個の台風が接近。
台風接近時や上陸時は安全面のことを考慮して作業は中止となりますが、工事作業がないからといって、何もしないわけではありません。
台風を代表とした大風の日は、普段以上に安全に配慮し、事故防止に努めなければなりません。
その対策を台風養生と呼びます。
台風養生とは?
台風のような大荒れの天気が来る前に、設置した足場に前もっておこなっておく飛来落下事故、倒壊事故を防止するための措置を取ることを台風養生と言います。
現場には足場が立っており、塗料等の飛散防止のためにメッシュシートがぐるりと張り巡らされているため、風の影響を強く受けてしまいます。
ここで何も対策を取らないと、最悪の場合は以下の写真のように足場が倒壊する危険性があります。
上の写真は、実際にあった倒壊事故を用いて国土交通省が注意喚起している資料に掲載されているものです。
幸い人的被害はなかったとのことですが、万が一倒壊事故で尊い命が失われた場合、どのようにしても贖うことはできません。
物的被害については、当然弁償義務が発生しますが復旧や弁償に時間がかかります。
また、限定モデルの車両が修復不可能なほどの被害に遭った場合、弁償が不可能という状態になってしまいます。
具体的な台風養生
台風養生って、具体的には何をするの?
代表的な台風養生ですが、下の写真のようにメッシュシートの一部を剥がしたり巻き取ったりして風の通り道を作り、風の抵抗を減らす対策を取ります。
周囲の環境や風の強さなどの様々な要因を考え、メッシュシートをすべて剥がすこともあります。
また、足場だけではなく現場周辺のすべてに気を配らなければなりません。
上の写真は現場のゴミ集積所を撮影したものです。
台風などの風が強い日には、配置してあるパイロン(三角コーン)やプラスチック製のグリーンフェンスが倒れたり飛ばされたりする可能性あります。
さらにゴミを入れる袋が風に煽られて飛ばされたり、中のゴミが飛ばされてしまうことも考えられます。
・飛ばされそうなものは事前に片付けておく。
・フェンスなどは事前に撤去しておき、台風が過ぎた後で再設置する。
・ゴミ袋は口を閉じる、飛ばされそうな場合は先に処分しておく。 等
住宅塗装では鉢植えやプランターが外にあることも多いので、家主様にお声掛けし、台風被害に遭わないように移動させていただきます。
台風による被害
台風による被害で多いものを解説します。
① 建物の倒壊や半壊
老朽化した建物が風圧に耐えきれず全体的に倒壊したり、屋根や外壁が吹き飛ばされて半壊状態になる被害があります。
築年数が長く、メンテナンスされていない古い木造の建物や空き家がこういった被害に遭いやすいです。
また、台風時には雨を伴うことがほとんどなので、地盤が弱い場所に建つお宅も被害に見舞われる可能性があります。
② 屋根材の剥がれや吹き飛び、飛来物による破損
● 屋根材の剥がれや吹き飛び、飛来物による破損
屋根瓦が外れたり吹き飛んでしまったり、スレート屋根でも剥がれや破損が起こります。
また、風雨による破損だけではなく、飛来物の衝突により屋根や壁を破損することがあるので注意が必要です。
屋根や外壁の破損は雨漏りの原因になります!
③ 建築設備の破損
窓ガラスやアンテナや雨樋など、建物に付随する設備が風圧で破損してしまうこともあります。
針金や重しなどで固定できるものは事前に固定しておき、固定が難しいものに関しては一時撤去しておきましょう。
ガラスに養生テープを貼る対策がありますが、割れなくなるわけではなく、割れた時に飛び散るのを防ぐ意味合いが大きいです。
台風被害を抑えるためには?
天気予報をしっかりとチェックし、事前に安全対策をおこなうしかありません!
塗装工事の施工中の場合、優良な業者や職人は事前に「撤去した方がいいかもしれません」と提案し、撤去のお手伝いをします。
施工をさせていただいているとはいえ、基本的にお客様宅のものを勝手に動かしたりできないため、必ず許可を取ってから移動させます。
もし業者や職人から提案がない場合、撤去をおこなう際は業者や職人に相談しましょう。
足場がある現場は頭をぶつけたり何かと危険ですので、遠慮せずお願いしてOKです。
他にも、雨戸やシャッターがあるお宅は必ず活用し、ない場合はホームセンターなどで売っている養生テープやガラス保護シールをガラスに貼り、対策しましょう。
ここでワンポイントアドバイスです!
台風対策で窓にテープなどを貼った場合、脅威が通り過ぎたらすぐに剥がしましょう!
養生シールや布テープは粘着力が強いので、時間が経てば経つほど剥がれにくくなり、無理に剥がすとガラスにシールのカスが残ってしまいます。
ずっと貼り続けている方もいますが、外から入ってくる光量が減るなど設計上の住宅の機能を果たせなくなるかもしれません。
緊急時はすぐに連絡
工事を請け負っている業者には災害時は迅速に対応する義務があります。
台風養生が不十分な場合、足場シートや養生のビニールが剥がれ、風に煽られてバタバタとうるさかったりします。
夜間であろうが早朝であろうが請負業者には対応する義務があるので、気になることや不安なことがあれば、現場管理担当者や会社にすぐに電話をしましょう。
詐欺にご注意ください
台風が通り過ぎた後、必ずと言っていいほど火災保険詐欺が増えるので注意!
保険に加入している場合、被災時は保険適用にて対応しないと意味がありません。
しかし、火災保険が適用されるのにはいくつかの条件があります。 ※ 保険会社や契約内容により条件は異なります。
・火災のほか、落雷・破裂・爆発・風・雹・雪災による損害である場合、損害を補償。
・水災や水濡れ事故による損害は、グレードの高い契約でないと適用されないことが多い。高潮や洪水、集中豪雨などにより起こった土砂崩れなどの自然災害がこれにあたるが、契約内容やプランによっては適用されない。
・被災から3年以内かつ災害による損傷であることが明らかである場合にのみ、保険が適用される。 ※損傷箇所の写真が必要。
皆さまお気づきでしょうか?
経年劣化や通常の摩耗・変質・変色などには、火災保険は一切適用されません!
しかし悪徳業者は、家主様の「被災した箇所の工事を急ぎたい」という心理に漬け込み、言葉巧みにダマそうとするので、以下のようなセールストークにはご注意ください。
・「火災保険が適用されるので無料で工事できます」と嘘の説明をおこなう。
先に説明したように、契約している保険会社や契約内容やプランによって適用範囲が異なるため、必ず適用されるとは言い切れません。
・「保険申請を代行しますよ」と業者から言われる。
保険の申請ができるのは本人様かもしくは保険契約時の代理店のみです。
業者に依頼して申請した場合、なりすまし申請だと判断されます。
・キャンセルに関する説明がない。
「保険が下りるなら工事をする、下りないなら工事をしない。」という方も多いですし、ごもっともな意見だと思います。
悪徳業者の場合、キャンセルに関する説明を一切せず、保険が下りなかったとしても「契約したんだから工事します」「契約違反ですよ」と言い、強引に工事を進めようとするという特徴があります。。
・工事費用を先払いさせる。
保険は必ず下りるものではありません。
それなのに工事費用を先払いさせるということは、保険が下りても下りなくても工事をするという現れです。
怖いわ……
詐欺に遭わないためにはどうすればいいの?
まずは契約している保険会社へ連絡してください!
工事の検討や決定は、保険会社からの返事が来てからでも遅くありません!
まとめ
いかがでしたか?
台風による被害の恐ろしさと、事前対策の重要さは伝わりましたでしょうか?
・台風接近時には事前の台風養生が肝心!
・火災保険詐欺に注意!
今回はこれを覚えてください!
台風前からしっかりと点検や対策をおこない、台風の通過時や上陸時は無理して動かず安全第一で過ごしましょう。
台風が過ぎ去った後はぜひ弊社にご連絡ください!
台風で破損や異常が出ている箇所がないかなど、無料点検させていただきます!
屋根瓦がズレてないか心配で……
雨漏りがしてるんだけど……
どんなご相談も大歓迎です!
上の動画は、過去に施工をさせていただいたお客様のお宅で撮影させていただきました。
「台風で庭の木がグラグラしていて怖い。でもどこに連絡すればいいかわからなくて……」
とのことで、ありがたいことに弊社にご連絡いただきました。
さまざまな状況から判断して木を切ることになったのですが、わずかな手間だけだったのでサービスでおこないました。
冒頭にも書かせていただきましたが、九州は台風が多くやってくる地域なので、しっかり備えなければなりません。
そのお手伝いに少しでも役立てればと思います。
・台風による被害について
・台風と塗装工事の関係
・台風時の塗装工事の対応